悲憤

図書券発行9月まで、カードに一本化

 日本図書普及は16日、図書券の発行を9月末で停止し、プリペイド式の図書カードに一本化することを明らかにした。
 図書券は、1960年に発行を開始した。全国1万900店で使用でき、昨年度の発行額は480億円に上った。しかし、ピーク時の94年度と比べ、160億円ほど発行額が減少している。一方、図書カードは90年の発行開始で、昨年度の発行額が230億円。同社では、図書カードの読みとり機の設置店が全国1万500店に増加したことに加え、図柄を自由に選べる図書カードは贈答品としても優れていることから、図書券の発行停止を決めた。

 古い図書券は、10月以降も無期限に使用できる。


まさに愚挙である。


高校生私は僅かな小遣いを遣繰りして映画と本と食べ物の日々を謳歌していたのだが、そこで大変役立ったのが親戚などから頂戴する図書券であった。


ご存知の通り図書券は1枚500円なので、書店にて500の倍数でない金額の図書類を購入すればお釣りが現金で帰ってくる。そこで往時の私は600円ぐらいの文庫本を図書券2枚で購入し、お釣りの400円で空腹を満たしながら買った本を読んだものである。つまり図書券は食欲と読書欲を同時に満たす貧乏学生の味方だった訳だ。


これが図書カードとなると、お釣りは現金で貰えずにただ残額表示が空しく印字されるのみである。「図柄を自由に選べる図書カードは贈答品としても優れている」という理由で、世の数多の苦学生を飢えさせるとは。日本図書普及には猛省を促したい。