行方

玄米万歳


寒い。飯もまともにない。酒ばかりがあるのは不幸中の幸いで、熱燗つけては暖をとる毎晩。もちろん肴もない。

沈みゆきしは太陽のみにあらざりき翳ふかき顔に人も我もなりゆく
巨大なる蒼き静脈となる夜の氷河しんしんとはるかに在りてねむる
幻視のはなびらも瞼に散らなくなり口の中暗く死にしは我よ


斉藤史『うたのゆくへ』