素読
今年最後の漢方研部会。資料づくりの合間に『傷寒論』の霍乱病に関する記述が気になり試験勉強そっちのけでレ点ひとつない漢字だらけの漢文と戯れる。ここで当blogをご覧の全国三千万人の主婦の皆さんは「何もそんな漢文から読まずともよいではないか、よいではないか〜」とお思いかも知れないが、我が家には現代語訳版の『傷寒論』などないのである。理由は簡単。
お値段が高い
たとえばamazonで調べてみると、
『傷寒論解釈』小倉重成 12,000円(ユーズド商品)
『現代語訳・宋本傷寒論』 9,030円
『臨床応用傷寒論解説』大塚敬節 8,400円
そこへいくと、私の持っているのは格段に安い。
- 作者: 日本漢方協会学術部
- 出版社/メーカー: 東洋学術出版社
- 発売日: 2000/01
- メディア: 単行本
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これでたったの3,675円。安い!安いわよ!安いわ!ボヨヨヨ〜ン!!
ただしこの本、仮名もレ点も一切ない。あるのはただ漢字ばかり。いわゆる白文。amazonではこの本に1件のレビューが書かれており、そこには恨み言が書かれている。
この本には日本語は一切書かれていない。漢文のみの本である。傷寒論を初めて勉強する人や日本語の解説を読みたい人は、この本を買わないほうが良い。他の本を捜すべし。
可哀想に。調べずに買うからこういうことになる。ちゃんと調べた上で現代語訳の他の本を買うべし。
しかし、多少の前提知識と小さな勇気があれば漢文の素読など決して難しくはない。何も厳密な翻訳など要求されてはいないのだ。意味を取り違えずに読めれば良い。たとえば、こうだ。
[原文]
問曰、病有霍乱者何。答曰、嘔吐而利、此名霍乱。
[超訳]
「おーい、病気で霍乱ってのがあるっていうけど、それなんだべ?」「ああ、霍乱ね。吐いて下痢しちまうのが霍乱だよ。」「へぇ、嘔吐下痢症ってやつか。なぁんだ、野呂さんか。」
ちょっと余計だが、それぐらいの余裕は欲しいところ。大人の余裕という奴だ。
そんなこんなで『傷寒論』の「第十三・辨霍亂病脉證并治」を読破し、気が付けば夕刻。慌てて部会に向かう。開始30分前に部屋に入り準備をしていると、私同様試験を控えた同学年の部員が登場。試験に間に合わないと大騒ぎ。
「大人の余裕を持ちなさい」
と嗜めているうちに部会開始時刻。しかし部屋には私と同級生のふたりきり。漢方どころではない試験前の男がふたりきり。
他にだぁれも来ない
折角資料を作ったのになぁ、それともみんな野呂さんになっちゃったのかなぁ、などとボヤいていると10分ほど遅刻して1年生2名が登場。
あんたたち、女神だよ
君らのおかげで私の部会資料づくりは無駄にならなかったんだよ。君らを産んでくれたご両親に感謝だね。
万感の思いの私を怪訝そうな目で見る1年生ふたり。
こうして今年最後の部会は無事に終了。
さて、これから試験勉強だ!
しかし、これから始めて終わるもんだろうか…。